6.性行為感染症
内科や外科の病気は、「なぜ、こんな病気になるの?、なぜ自分だけが」というようなものがほとんどですが、 婦人科では、自分でつくる困った病気があります。
それは、
- 性行為感染症(STD)
- 望まない、あるいは 望まれない妊娠
その、困った疾患をおこす原因は?→
が、しかし、・・・・
愛するカップルが『セックス』することは自然な行為です。しかし、『セックス』は、本来、
スポーツや快楽の手段でなく、子孫を作るという生殖行為です。「自然にまかせたセックス」では、
『SEXによる感染症』『妊娠から出産』という結果が待っています。
本来なら、祝福されるべき妊娠が一点、経済的事情、家庭的事情、学生や社会の立場的事情により、
中絶を選択せざるを得ない場合があります。
『愛のコミュニケーション』としての『セックス』でも、お互いの人格と身体の尊重が望まれます。
『セックス』や『STD(性感染症)』により、心や身体を傷つけてしまい、信頼を失っては、
『愛のコミュニケーション』の意味がありません。
性行為感染症って何?
性行為あるいはそれに近い行為でうつる(感染する)病気のことで、Sexually Transmitted Diseases、 すなわちSTDといいます。
性感染症にはどんなものがある?
クラミジア感染症 | クラミジア・トラコマティスという病原菌が原因です。クラミジアの感染者数は急激に増加しています。
今、日本国内で100万人近くと推計され、特に15~19歳の女性の18人に1人、20~24歳の15人に1人が
感染しているといわれています。 感染後1~2週間後に、男性は少量の分泌物、女性は多少おりものが増えます。 しかし、女性で、症状が出るのは感染者のわずか5分の1程度で、他は症状が何も出ず、 感染に気づきにくい病気です。男性も半分は症状がでません。 放っておくと、女性の卵管などに炎症を起こし、不妊や流産の原因になります。 生まれた赤ちゃんに肺炎や眼炎がおこることもあります。 |
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淋菌感染症 | 淋菌によっておこる病気です。男性は尿道から黄色膿汁がでて強い排尿痛が起こり、
女性は膿性のおりものが出ます。女性はほとんど症状が出ないことがあります。
放っておくと、クラミジア以上に不妊症になりやすくなります。 ・クラミジアと淋菌は兄弟分 ・混合して持っている場合が多い |
性器ヘルペス | |
尖形コンジローマ | |
毛じらみ | 陰毛の毛穴に住み着く、虫です。とても痒いようです。 毛穴を良く見ると、0.3mmくらいの虫や卵が見えます。 パウダーがありますが、それで改善していきます。 |
性感染症はなぜ怖い?
- うつったあと、ほとんどの人は気づかない(こともある。)
- 気づかないうちに人にうつす危険がある→いずれ症状がでてくる。
性感染症にかかると、どうなる?
からだ | 心 |
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ちつ、子宮、卵管、腹腔内などの炎症 赤ちゃんへの感染 |
心理的なもの→罪悪感・将来のこと(結婚・不妊など)を考えてしまう。 |
性感染症かも・・・・のサイン
- 性器やそのまわりがはれたり、水ぶくれやブツブツができた
- 性器やそのまわりがとてもかゆい・痛い
- おしっこをすると痛い
- おしっこに血やウミが混じる
- おりものの色が異常、ひどくにおう、急に増えた
上の症状が出現したら、早めに産婦人科受診をお勧めします。
ただ、サインのまったくない場合もあり、知らないうちに病状が進行していく場合もあります。
さらに、
・ご主人やSEXパートナーの尿症状がある
・ 〃 がSTDと言われた
の場合も、自覚症状がなくても、要注意です。
気になるおりもの
- ちつ内は、自浄作用あり。
- かゆみや痛みがなければ、まず心配なし。
- SEXがなければ、STDはほとんど心配なし。
幸いなことに予防方法と治療方法がある。
性感染症を防ぐ2つの方法
- 1. 性交またはそれに近い行為をしない
- 単純な話、SEXがなければSTDにはかかりません。
ただ、非常に難しいことだとは思います。 - 2. コンドームをつける
- もっとも重要です。
万一、移されたとしても、幸いなことに、治療をすれば直る!
- ある種の病気を除く。
- また、初期治療が望ましい。
性感染症の治療方法
ほとんどすべてのSTDは治療すればなおる!
- AIDSのみ治療法が確立されていません。
- 治療は、早期にするにこしたことはありません。
さらに忘れてはならないことがある!!
STDにかかるおそれのある場合
- 1. STDを持っていそうな人かどうか(見た感じ遊び人)
- 外見で人を判断することは良くないことですが、….
遊び人は結構病気を持っているようです。 - 2. 不特定多数
- 感染の機会が増える (困った友達の輪)
困った友達の輪
STDの友達は、3n×2=で増加してくる。
STDは自分の意志で避けることが出来る病気です。正しい知識と、強い自覚で、回避していくことが必要です。
エイズ(AIDS)
決して他人事ではありません!!!
厚生労働省エイズストップ作戦本部事務局では、
「ストップエイズ・平成13年の新規HIV感染者・エイズ患者数は過去最高。
近年、性的接触による感染が増加しています。エイズ予防のためコンドームを正しく使いましょう。
(厚生労働省)」のようなスローガンをたてております。
無防備の性交の結果、何がおこりうる?
妊娠を契機に、結婚のほうへすすむ方もかなりおいでになります。「できちゃった結婚」、大歓迎です。
ところが、「生めない・育てられない」となると話は深刻となってきます。
- 人工妊娠中絶
- 養子縁組み
などを考えなければならなくなってしまいます。
男女が付き合っていく上では、お互いの人格と身体の尊重が望まれます。 性行為感染症(STD)は自分の意志で避けることが出来る病気です。 正しい知識と、強い自覚で、回避していくことが必要です。