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5.更年期

人生85年です。更年期は、やっと人生の半分がすぎた折り返し地点なのです。

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90歳
幼少期 少女期 思春期 性成熟期 更年期 老年期
ずっーと長生き

女性の平均寿命(0歳の平均余命)は84.60年と長くなってきております。(ちなみに男性は77.72年)

ホルモンとは何でしょう?

内分泌とは、体にある内分泌腺から分泌物が直接血液などに送り出されることをいい、 その物質はホルモンと呼ばれます。このホルモンの種類は40種類以上に及び、 体の成長や代謝を促進させる働きをしています。
この内分泌の異常でホルモンが多すぎたり少なかったりすると病気が起こりますが、 よく知られているのがインスリンの不足による糖尿病です。バセドウ病で知られる甲状腺機能亢進症、 その反対の甲状腺機能低下症もホルモン異常です。その他に下垂体性小人症、末端肥大症のような成長 ホルモン障害などがありますが、産婦人科領域では、性ホルモンの異常による無月経、不妊症、更年期障害などがあります。

ホルモン=女性ホルモンだけではない!

ちなみに、環境ホルモンとは、
「環境ホルモン」は、正式名「外因性内分泌攪乱化学物質」と呼ばれ、生物の内分泌系を攪乱し、
生殖障害など健康や生態系に悪影響を与える環境中の化学物質のことです。

性ホルモンとは?

更年期障害=エストロゲン低下であるので、低下したエストロゲンを補うことで更年期障害をなおす治療です。
なぜ、HRTが効くのかというと、いつも自動車をたとえて説明しています。

女性ホルモン=ガソリンと考えるとわかりやすい

ストロゲンが欠乏すると

子宮 生理不順、生理が止まる
ちつ 炎症が起こりやすくなる(萎縮性ちつ炎・老人性ちつ炎)
血管 血行が悪くなる、動脈硬化
心臓 高血圧
骨粗しょう症
血液 高コレステロール血症
物忘れ、うつ症状、アルツハイマー病と関連あり?

といったさまざまの疾患をおこす可能性がでてきます。

女性ホルモン(エストロゲン=卵胞ホルモン)の分泌

更年期になると、エストロゲンの分泌が減ってくる

更年期とは?

年齢とともに(加齢)生理が不規則となってきますが、 完全に止まってしまう状態(閉経、月経が1年間にわたり見られない)までを更年期といいます。 一般的に、45~55歳までをいいます。

更年期障害とは?

さきほどお話ししましたように、ホルモン的な女性らしさはエストロゲン(卵胞ホルモン)により左右されます。 更年期になるとエストロゲンが低下してきますが、このエストロゲンの低下に伴いいろいろな症状がでてきます。 すなわち、顔がほてる、汗をかきやすい、腰や手足がほてる、動悸や息切れがする、 イライラや頭痛などがあらわれます。ひどくなると、うつ病みたいに沈み込んだりします。

更年期障害の自己診断法

更年期障害がどの程度進んでいるのか、また治療の前後で、 治療の効果があったかどうか客観的に評価するために用いられている診断法です。 チェックしてみてください。

症状 なし 点数
[1] 顔がほてる 10 6 3 0  
[2] 汗をかきやすい 10 6 3 0  
[3] 腰や手足が冷えやすい 14 9 5 0  
[4] 息切れ、どうきがする 12 8 4 0  
[5] 寝つきが悪い、また眠りが浅い 14 9 5 0  
[6] 怒りやすく、すぐいらいらする 12 8 4 0  
[7] くよくよしたり、憂うつになることがある 7 5 3 0  
[8] 頭痛、めまい、吐き気がよくある 7 5 3 0  
[9] 疲れやすい 7 4 2 0  
[10] 肩こり、腰痛、手足の痛みがある 7 4 3 0  
合計点  
※強、中、弱はすべて自分の自己評価です。
※10項目のそれぞれの点数を合計します。
※もちろん、これだけで診断はつけられませんが、合計点が51点以上の場合、婦人科で更年期の診断を受けることをお勧めします。

更年期障害の治療方法

治療が必要かどうかは、症状で判断しますが、以下の5とおりくらいあります。

  1. がまんする
  2. 運動療法
  3. 生活リズムをかえる
  4. 漢方療法
  5. ホルモン補充療法(HRT)

症状が軽い場合やどうしてもお薬を使いたくない人は、気分転換の方法(ジョギング、趣味、読書など)を ためしてみると良いでしょう。
症状が気になる、苦痛と感じる人は、治療の対象となります。おもに。漢方薬やホルモン剤投与があります。

漢方療法

東洋医学による更年期治療ですが、さまざまなお薬があります。自分にあったお薬でないと効果がでてきません。(同じお薬でも効果のある人とない人がいる。)
おもに、 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)、 加味逍遥散(かみしょうようさん)、 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)、 当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)、 などを用います。

ホルモン補充療法(HRT)

更年期障害=エストロゲン低下であるので、低下したエストロゲンを補うことで更年期障害をなおす治療です。
なぜ、HRTが効くのかというと、いつも自動車をたとえて説明しています。

更年期Q&A

避妊については、どう考えればよいですか?
年齢とともに妊娠率は下がってきますが、排卵がある間(月経が規則的にある)はやはり避妊は必要です。 ただ、排卵がなくなって月経もピタッとなくなるのであれば、避妊が必要かどうか悩むことも少ないのですが、 なかなかそうはいきません。
不順になってくると妊娠の可能性は低下してきますが、時々しか生理がないひとでもまれに妊娠することがあります。
(53歳で妊娠した人を経験したことがありました。しかし、異常妊娠でした。)
萎縮性ちつ炎と言われましたが?
萎縮性腟炎(老人性腟炎)は閉経後におこります。外陰部や膣壁、子宮などの女性器は、卵巣から分泌される女性ホルモンに依存しています。 そのため閉経して女性ホルモンがなくなってから2~3年たつと、多くの女性でこれらの臓器の萎縮が始まります。 膣壁や外陰部の萎縮により痛みやかゆみ、時には不正出血などの不快な症状をともなった萎縮性腟炎(老人性腟炎)がおこってきます。 また、ちつの自浄作用も低下してきます。これは、HRTをすればなおってきます。ただ、子宮がんが隠されていることもありますので、 産婦人科で「がんでない」ことを確認してもらったほうが良いです。
更年期の治療をしているがなかなか直らない
原因は2つ考えられます。ひとつは、治療が不十分であること。 もうひとつは、「更年期障害でない」こと。更年期障害の診断は自覚症状でなされるので、 自覚症状がまったく更年期障害にあてはまっても、違う病気であることもあります。 たとえば、耳鼻科、神経内科、精神科、脳外科の病気が隠されていることもありますので、 主治医の先生とよく相談してみてください。
更年期またはその後ににおこる病気はどんなものがありますか?
「更年期障害」「骨粗鬆症」「高脂血症」「脳血管疾患」「虚血性心疾患」「高血圧性疾患」などがありますが、 だいたいおこる順番があります。「更年期障害」が、閉経に前後してまず現れ、続いて外陰部や尿道の炎症など「泌尿生殖器の障害」が現れます。 更年期症状が落ち着いた約10年後、骨粗鬆症や高脂血症が出現してきます。 これらは急におこるわけではありません。エストロゲンがなくなる閉経期から、自覚症状のないままに、少しづつ悪化していきます。 ただ、困ったことに骨粗鬆症は骨折しないと分かりませんし、高脂血症も高血圧や脳卒中、狭心症などをおこしコレステロールの採血をしないとわかりません。 これらの症状が出る前にそれぞれを目的とした検査を受けなくてはなりません。
骨粗しょう症とは何ですか?
女性の骨の密度は、20歳前半でピークになります。そのあとから年とともにだんだん下がってきます。

当院では骨粗しょう症の検査ができます。